BGMと仕事効率の関係性


リモートワークをしていると、仕事をする環境を自由に選べるというメリットがあります。しかしそこで付きまとうのが、騒音という問題。私も集中してライティングの作業したいのに、まわりの音が気になってしまう、なんてことがよくあります。大事な作業を集中して行いたいとき、どのような音対策ができるのでしょうか。

音の種類とその効果

2010年に行われたBGMに関する調査によると、一番集中力を妨げるのは、断続的に聞こえてくる会話の音だそうです。どのような音かというと、例えば、静かな図書館にいるとき。静寂の中で子どもの声や、司書さんと来館者の途切れ途切れの会話などが耳に入ってきますよね。たくさんの音が混ざりあっているのではなく、ひとつの音がはっきりと聞き取れてしまう。こういった種類の音こそ、集中力を妨げてしまうそうです。

では、ほかの音はどうでしょう。カフェで聞こえてくるようなたくさんの継続的な会話や音楽、白色雑音(white noise)と呼ばれる日常生活で自然に聞こえてくる音。これらの音は必ずプラスの効果が得られるのかといえば、そうとも限らないそうです。例えば、音を聞く目的が、ポジティブな気持ちになるため、スポーツで活躍するため、仕事の作業効率を高めるため、という目的であれば、プラスの効果が生まれるとのこと。しかし、文章を集中して読みたいという場合、これらの音も向いていないそうです。

音と仕事効率の関係性には個人差がある

静かな環境の方が一般的には集中力が高まるということがわかりました。しかし人によっては、静かな環境の方が集中しにくいということもあるかもしれません。

学生を対象に行われた、白色雑音と記憶力の関係性に関する調査では、多くの生徒が騒音のない環境でより高い記憶力を発揮した一方で、ふだん集中力がないと教師から認識されている生徒たちは、白色雑音を聞いているときの方が記憶力が高まったという結果になりました。

また別の音とパフォーマンスの関係性に関する調査では、騒音がない方が、何らかの騒音がある場合に比べ、確実に作業のパフォーマンスが上がるという結果になりました。しかし、社交的な人は内向的な人に比べ、騒音の中でも作業のパフォーマンスが下がりにくいということも証明されたそうです。

このように、音と仕事効率の関係は奥が深く、個人差もあるため、一概にはこうだとは言えません。もし、カフェの騒音の中でこそ集中力が高まる!と感じる人は、自分の感覚を信じるべきだと言えます。

音と創造力

実際のところ、リモートワークで仕事をするにあたり、静かな環境を見つけることは難しいことでもあります。そこで注目すべきことが、以下の調査結果です。

騒音の大きさと創造力の関係性に関する調査では、騒音の音量が適度に大きい場合(掃除機が3メートル離れたところで使われているときより少し静かな音量、70デシベル)の方が、音量が小さすぎる場合(一般的な大きめのオフィスでの騒音、50デシベル)に比べて、創造力が高まるという結果になりました。その一方で、騒音が極端に大きい(ディーゼルのトラックが真横を走り抜けたような騒音、85デシベル)場合、創造性は極端に下がるそうです。

また、2012年に出版された専門誌の中で、自然環境から生まれる音には、創造力を向上させる効果があると紹介されました。梅雨の雨音や、夏の夕立で雷がとどろく音。浜辺で聴こえてくる海のせせらぎや、森の中を歩くときに聴こえる鳥の鳴き声や、踏みしめる大地の音。自然のなかで聞こえてくる音には、たくさんの種類がありますね。こういった音こそが、リモートワークでの救世主になってくれそうです。

リモートワークと音対策

静かな環境で集中し、作業の効率を上げたいけれど、そんな場所がなかなか見つからない。これも、リモートワークをするにあたってよくある悩みのひとつではないでしょうか。そんな時は、適度な音量で、自然環境から生まれる音を聴くというのがひとつの解決手段ということがわかりました。いろいろなCDやアプリを試して、自分に合ったものを探してみてくださいね。実際には屋内でパソコンに向かって作業しているわけなのですが、耳からは自然の音が聞こえてくる。それだけで少し気分転換にもなるかもしれません。ぜひ、みなさんも自然の音を取り入れて仕事をしてみてください。

参考記事


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