「ゲーミフィケーション」でネガティブをポジティブに変換

ゲームに夢中になりすぎて、時間を忘れてしまったことがある人は多いのではないでしょうか。
「仕事もこんなふうに楽しくできたらいいのに……」と、思ってしまいますよね。
ワクワクとドキドキ、タスクをクリアしていく達成感など、ゲームには人をひきつける要素がたくさんあります。それらによって、私たちはものすごい集中力を発揮するのです。

人を熱中させるゲームの要素を、ゲーム以外の分野に応用する手法を「ゲーミフィケーション(Gamification)」といいます。

ゲームの中にちりばめられた仕掛けとは?

ゲーミフィケーションは、私たちの日常生活の中にある様々なサービスやシステムに活用され、ユーザーのモチベーションやロイヤルティー向上に役立てられています。

では具体的に、ゲームのどんな仕掛けが私たちを魅了するのでしょうか。
「仕事のゲーム化」でやる気モードに変える』(実務教育出版)によると、ゲームには次のような工夫がなされています。

  1. 
 共感できるストーリーを用意する
  2.  レベル(級・段、ステージ)を設定して、向上心を刺激する
  3. 「バッジ(標章)効果」でプライドをくすぐる
  4. 「コレクション効果」を活用し、途中でやめにくくする
  5. 「ソーシャル共有」による他人との交流の楽しさを狙う
  6.  自発的に参加していることを意識させる
  7.  自分好みにカスタマイズできる部分を残しておく
  8.  クエスト(課題・ミッション)への取り組みを習慣化する
  9.  リアルな能力向上につながる「学習クエスト」を盛り込む
  10.  負けているほうが逆転できる可能性を残す
  11.  予期しないサプライズ報酬を用意しておく
  12.  ビジュアル・デザインに気を配る

これらの仕掛けを応用した事例としてよく知られているサービスが、航空会社が提供するマイレージプログラム。「マイル」という単位のポイントを獲得していくこのサービスでは、マイルを航空券や商品などと交換できるだけでなく、「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」(称号の名称は航空会社によって異なる)などと称号が上がっていくことで、ステータス感を得られるのです。

「ポケモンGO」で、出不精や運動不足を解消

また、2016年7月に配信がスタートし、大ブームとなった位置情報ゲームアプリ「ポケモンGO」が、健康面でよい効果をもたらすことが分かっています。

キャラクターと街が一体となったこのゲームは、幅広い世代の人たちに楽しまれ、「歩く時間や機会が増えた」「家から外に出る機会が増えた」「家族との話題やコミュニケーションが増えた」「リフレッシュや気分転換ができるようになった」など、プレイヤーをポジティブに変化させています(花王株式会社 生活者研究センター調べ)。

外出を「苦痛」に感じていた人たちがこのゲームに“やる気スイッチ”を押され、知らず知らずのうちに、街に出て歩くことを「楽しく」感じるようになっていったのです。

仕事や学習をゲーム化してみると……

ゲーミフィケーションは、仕事などの場面にも取り入れることができます。そこで、どんなふうに応用できるかちょっと考えてみました。

 

チームでプロジェクトを進める場面で

仕事でチームを組んだときなど、メンバー一人ひとりの長所や短所を書き出してキャラクター設定をしてみます。そうすれば、メンバーたちに興味や愛着を感じるとともに、それぞれの関係性を俯瞰して見ることができるのではないでしょうか。そうした視点は、チームビルディングにも生かすことができそうです。

また、苦手なメンバーに話しかけたら「5ポイント獲得」、みんなにアイデアを提案したら「15ポイント獲得」といったように自分なりのルールを決めてポイントを加算することで、自分の行動や成果を可視化でき、モチベーションアップにもなるのではないでしょうか。

資格取得など学習の場面で

覚えることがたくさんありすぎてやる気が出ないときは、問題を書いた付箋を自分の身のまわりに貼って、それを見るたびに解答してみます。身についたらポイントを加算してレベルアップしていく仕組みにすれば、達成感を得られます。問題の難度によって付箋の色やポイント数を変えるなど、工夫するのもいいかもしれません。

 

ゲーミフィケーションを日常生活に取り入れて、いろんなネガティブをポジティブに変えることができれば、ストレスも軽減されそうです。

自分次第で、「つまらない」ことを「ワクワク」に変えることができるのかもしれませんね。

 

参考

『「仕事のゲーム化」でやる気モードに変える』長尾一洋・清永健一,実務教育出版,2013.

「ふだんのくらしと健康意識に関する調査」花王株式会社 生活者研究センター,2017.7.

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