時間管理は自分のリズムづくり-トップセールスマンが教えてくれた時間管理の基本

月単位や週単位のざっくりとしたものから、分刻みのものまで、時間管理の方法は人によってさまざまです。好みはあるものの、効率よくやるべきことを行っている人の時間管理には、押さえるべきポイントやヒントが隠されています。ここでは私が実際に、会社のトップセールスマンから聞いた時間管理の方法について紹介します。

時間単位のスケジュール管理が苦手だった

元々私は、「細かい時間刻みで、スケジュールが見える化される」タイプのツールが苦手でした。机上カレンダーなどでよくみかける、1ヶ月のスケジュールがひと目でわかるタイプのものの方が好みで、マンスリータイプの手帳に予定を書き込むのが常でした。

1ヶ月のスケジュールのバランスがひと目でわかるようになっていると、「この週は忙しくしすぎてしまったから、翌週は少しまったり過ごそうかな~」などと考えることができます。またこれは、自分を忙しくしすぎないよう、精神的・体力的にしっかりとバランスを保った日々を送るために意識していることでもあります。

一方で、1日のスケジュールの埋まり具合がひと目でわかるような形でスケジュールを管理することには、やや抵抗がありました。いざ手帳で予定を埋めていくと、1日24時間しかない自分の時間がどんどん埋まっていくようで、「時間がない!」と、落ち着かない気持ちになってしまう気がしたのです。長らく実際に試してみることもせず、食わず嫌いの状態でした。

そのため手帳の1週間の予定を時間別に書き込むタイプのページは、もっぱらその日その時間に行ったことや、思ったことなどを書き留める場所として使っていました。

手帳の使い方は人それぞれ

学生時代はずっとこのスタイルできたのですが、社会人になったときに会社指定の手帳が配布され、時間の流れ方が変わったことをきっかけに、時間管理の方法を変えてみようかなと思い立ちました。

当時、個別注文住宅の営業職として働いていたのですが、毎日がめまぐるしい忙しさでした。平日は、社内ミーティングや発注先業者とのやりとりを行いつつ、合間で雑務をこなします。週末にも、1日に何人ものお客様との打ち合わせが入り、手帳のページはみるみるうちに埋まっていきました。

それぞれの予定の間には、車での移動時間もあるので、道路の渋滞も考慮に入れて移動時間を計算します。こうやって慎重に予定を組んでは実行する日々でしたが、それでも相変わらず、慣れ親しんだ1ヶ月のスケジュールがひと目でわかるタイプの手帳でスケジュール管理する方法を貫いていました。

そんなある日、当時のチームリーダーと、「チームミーティングを行うと、必ず時間に遅れてくる人と、必ずきっちり間に合うように来る人がいるよね」という話になりました。早速、その日のミーティングで、チームのメンバー同士、赤裸々に手帳を見せあいっこすることに。すると、作りが全く同じ会社支給の手帳でも、使い方は人によって本当にさまざまだということがわかったのです。

予定の種類によって色分けしている人や、時間ごとの予定ややるべきことがわかりやすいように線や枠を引いている人など。使っているペンは、書き直しが可能なフリクションやシャープペンシル派が圧倒的に多いようでした。

みんな、自分なりにわかりやすいスケジュールと時間の管理を心掛け、日々の激務をこなしていることがわかりました。

トップセールスマンの時間管理を真似してみたけれど・・・

せっかくなので、事業所内のトップセールスマンの手帳も見せてもらうことに。好成績を維持しているということは、抱えている案件も多いということ。誰よりも忙しいはずなのに、いつもきっちりと約束の時間通りに現れる。当時新人だった私にとって、彼のその時間・スケジュール管理能力は魔法のようにしか思えず、そんな魔法の秘密を探れるチャンスだとわくわくしながら聞きにいきました。

いざ手帳を見せてもらうと、手帳の週間スケジュールのページに枠や線を引いて、まさに、1日24時間のスケジュールの埋まり具合がひと目でわかるようなかたちでスケジュール管理をしていることがわかりました。そしてその脇の欄に、その日仕上げるべきこと、つまりタスク管理用のリストが並んでいました。

本人いわく、「パッと見て、空き時間がわかるでしょう?そして、今すぐやるべきこともひと目でわかる。時間の無駄をなくすのにいいんだよ。」とのこと。要するに、時間の無駄を作らないことがポイントで、そのためにはやはりきちんと厳密に時間管理をすることが大切なのだと気付かされました。

早速自分の手帳にも、真似をして線を引き、予定を書き込んでいったものの、1週間もしないうちに面倒になり元のスタイルに戻るはめに…。そこに至る過程はこうでした。

予定を書き込む

空き時間が見える化されるので、空き時間に何をするのかもついでに書いてみる

予定が綺麗に仕上がって満足

ところが、上司の都合によるチームミーティングの時間変更や、お客様の急用によるアポイントの時間変更発生

書き直す必要性が生じて、空き時間の予定もすべて書き直し・・・

挫折した一番の要因は、「面倒くさい」という気持ちでした。細かく予定を書き込んだことで、突発的に起こる出来事のたびに予定を書き直す必要が生じたのです。時間ごとに枠や線を引いて、予定を書き込んで、予定が変わったらまた書き直してというこの流れが、段々わずらわしくなってしまったのです。

時間管理はリズム作り

1ヶ月ほど経った頃、あらためてトップセールスマンの彼に手帳を見てもらうことに。申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、彼の手法の真似を試みたページと現在のページを見てもらうと、「スケジュール管理と時間管理は自分に合ったやり方があるはずだから、無理に真似しないで自分に合ったやり方を探した方がいいよ。時間管理は自分のリズム作りだから。」というアドバイスをくれました。

それからは、自分なりの時間管理のスタイルを作り上げるべく、模索する日々が始まりました。今はGoogleカレンダーでのスケジュール管理に行き着いています。私の場合、予定が変更になったときに手帳を書き直すことがネックになっていたので、なによりも書き直しが楽!というのがポイントでした。予定の種類ごとに色も使い分けながら、細かく時間管理ができます。また、空き時間の部分には、やることリストを記入しておきます。急な予定変更も、枠をドラッグして移動するだけで、パズルのように簡単にできます。

自分なりに行き着いたスケジュール管理を実践してみて一番驚いたのが、仕事の忙しさは変わらないにもかかわらず、むしろ、落ち着いた気持ちで仕事に取り組めるようになったことでした。

スケジュールを確認すると、1日のうちで、お客様とのアポイントやミーティングなど特に集中しなければならない時間がわかると同時に、少し気持ちを緩めながら取り組むことができる、雑務が占める時間もひと目でわかります。

以前は勤務時間中、常に一定の強さで張り続けていた緊張の糸がありましたが、それを強める時間と弱める時間があることに気が付きました。スケジュールと時間をしっかり管理するということが、自分の中でのリズムを作るのに役立つ、ということの意味がようやくわかった瞬間でした。

時間管理はリズム作り。自分のタスク管理をしながら、動かせない用事の時間帯と空き時間の把握をする。それに基づきスケジュールと時間を管理することで、自分のエネルギーを使い分けること。

実行の仕方は人によってさまざまですが、トップセールスマンが教えてくれたこの時間管理のルールは、今でも自分の中の基礎として残っています。

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