時短勤務の人が残業できる?知っておきたい法律上の制限と注意点とは?

フルタイムより短い時間で働く時短勤務。しかし時短勤務の人に残業をお願いすることはできるのでしょうか

時短勤務とは何かを今一度しっかり理解し、残業ができるのか、できるとしたらどのような制限があるのかを解説します。

育児や介護と仕事との両立は、少子高齢化の現代日本の社会的な問題です。時短勤務の導入によって企業は労働力をどのように確保したらいいのか、一緒に考えていきましょう。

 

時短勤務とは?

まずは時短勤務とは何か、どのような人がその対象となるのかきちんと把握しましょう。時短勤務制度の導入をするには、事業者側が理解し、柔軟な働き方を実現していくことで、企業イメージのアップや優秀な人材の確保にも繋がっていきます。

 

時短勤務とは何か?

時短勤務とは「短時間勤務制度」といい、3歳未満の子どもを持つ労働者が1日の労働時間を短縮できる制度です。これは「育児・介護休業法」の法改正によって2017年(平成29年)1月より取り入れられました。

具体的には、労働基準法で定められている所定労働時間8時間のところ、時短勤務では1日の労働時間を「原則6時間」としています。あくまでも“原則”なので、それ以外の時短勤務や代替の働き方ができるかどうかは企業によって違います。

 

時短勤務の申請は、労働者が開始日の1ヶ月前までに1回につき1ヶ月以上1年以内の期間で企業に請求します。回数の上限はなく、子どもが3歳の誕生日になるまでは何度でも時短勤務の請求ができます。

 

子どもが3歳以上、就学前はどうなる?

子どもが3歳になってもまだまだ手がかかります。特に就学前は幼稚園や保育園の送り迎えなどで、所定労働時間働くことが難しい場合も。

 

企業としては、労働者の子どもが3歳未満であれば時短勤務の適用、もしくは代替の勤務制度を準備しなければなりません。ただし子どもが満3歳の誕生日を迎え未就学児童となった際には、企業の努力義務となります。この場合は、以下のような代替案が考えられます。

  • 育児休業に準ずる措置
  • 出退勤時間の繰り上げまたは繰り下げ
  • フレックスタイム制の導入
  • 事業所内に保育施設を設置する など

時短勤務を認めなくてもいい場合

3歳未満の子どもがいても、以下のような従業員に対しては時短勤務制度の対象から外れることがあります。

  • 入社1年未満の従業員
  • 日雇いの従業員
  • 1週間あたりの所定労働時間が2日以下
  • 業務の性質などから時短勤務の適用が難しい業務を行う従業員
  • 配偶者が専業主婦または主夫
  • 配偶者が育児休業中

 

時短勤務でも残業はできる?

時短勤務の内容がわかったところで、時短勤務を請求した人が残業をすることは可能でしょうか?3つのケース別に見ていきましょう。

 

所定外労働時間の制限

「所定外労働時間」とは、就業規則で定められている労働時間を超過している分のこと。雇用契約書や就業規則に明記されている「所定労働時間」を超えても、事業主が必要と判断した場合は、所定外労働時間を指示することができます。(労働基準法の制限内)

ただし、条件を満たす従業員が時短勤務を請求した場合には、所定外労働の指示を行えません。

 

また子どもが3歳の誕生日を迎えた、産前産後休業、育児休業が開始された場合は、所定外労働の制限も終了します。

 

時間外労働の制限

 

「時間外労働時間」とは、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を基準とした累積の残業時間です。時短勤務の場合は時間外労働(残業)も制限の対象となるので注意が必要です。

残業に制限がかかるのは、時短勤務の請求をした小学校就学前の子どもを養育している労働者。条件を満たす人が残業(時間外労働)の請求をすると、事業主は「1ヶ月につき24時間、1年につき150時間」を超える残業を指示できません。

 

ただし業務が正常に運営できないなど、事業者が事業継続に困難がある場合に限り、時短勤務の請求があっても残業が認められます。つまり、法律上では時短勤務中の人が残業することは、可能ということになります。

 

深夜残業の制限

時短勤務を請求している人は、22時から翌5時までの深夜帯の残業が制限されます。こちらも時短勤務の請求と同様に、深夜残業の制限請求を行うことができます。

 

ただし以下に該当する人は、深夜残業の制限が適用されません。

  • 継続して雇用された期間が1年未満の人
  • 日雇い労働者
  • 深夜にその子を保育できる同居家族がいる
  • 1週間の所定労働日数が2日以下
  • 所定労働時間のすべてが深夜である

 

さらに、業務の正常な運営が困難な場合は制限適用の例外として深夜残業が認められます。

 

時短勤務中の残業代は?

時短勤務中でも、制限内であれば法律上は残業ができることがわかりました。

残業には大きく「法定内時間外労働」と「法定外時間外労働」の2つがあります。では、それぞれの残業代がどうなるのか見てみましょう。

 

法定内時間外労働の場合

法定内時間外労働とは、所定労働時間を超えた8時間以内の残業のこと。例えば1日6時間の時短勤務をしている場合、1時間の残業をしたとしても、合計7時間勤務なので法定労働時間内ということになります。

 

時短勤務中に残業をしたと言っても、法定労働時間内に収まるため、割増賃金は会社の任意となり、法的には割増賃金の支払いは不要ということに。しかしながら、それは割増賃金のことであり、時間単価で計算した1時間分の賃金は支払われることになります。

 

法定外時間外労働の場合

法定外時間外労働とは、前述した「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて働くことです。労働基準法では、この法定外時間外労働に対してのみ、25%の割増賃金の支払いを義務付けています。

 

時短勤務制度を導入する際の注意点

時短勤務は多様化する働き方を後押しし、企業にとっても労働者にとってもメリットの大きな制度です。

それでも時短勤務には注意点もあるので、導入する際にはしっかり対策を行いましょう。

 

時短勤務への理解を図る

時短勤務について、どのような制度なのか従業員への周知の徹底は必須です。誰かが時短で働くことで周囲の労働者に負担がいかないよう、企業としては仕事効率化のためのITツールやチームでの相互援助ができるシステムの見直しを行い、時短勤務者だけでなく、周囲の業務負担も軽減するような努力が必要です。

 

また時短勤務者が働きやすい環境を整備するためにも、上司や同僚の時短勤務への理解を図ることも大切。制度導入の前にお互いの理解を深めましょう。

 

ハラスメント防止対策

育児・介護休業法が改正され、事業主には時短勤務や育児休業を希望する労働者に対するハラスメント防止措置が義務付けられています。ハラスメント防止対策は、正規雇用者・非正規雇用者に限らず、すべての労働者が対象です。

時短勤務や育休を取った労働者が、働きにくくなったり仕事に復帰したりしにくくならないよう、対策を講じましょう。

 

また時短勤務を請求した人が、減給や解雇といった不利益を受けるような行為は法律で禁じられています。

 

時短勤務を有効に取り入れて働きやすい職場へ

時短勤務は子育てや介護といった事情を抱える人にとって、心強い制度です。とはいえ、事業者にとっては人材確保に頭を抱えることもあるでしょう。

法律や社内ルールをよく把握した上で時短勤務者の残業を要請してください。

 

さらに時短勤務を導入する時には、事前に対策を講じる必要がありますので、しっかり周知を行いハラスメント対策を行いましょう。

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