さまざまな自治体が取り組む「働き方改革」関連の認定制度

働きたい人がもっと自由に働ける未来を実現するため、政府が推進する働き方改革。2019年度からは、時間外労働に上限規制などを設ける「働き方改革関連法」も順次施行される予定です。改革が推進されているという実感がわかないという人が多いのも現実ですが、実際に多様な働き方を叶えるために積極的な取り組みをしている自治体は多数存在します。

今回は、さまざまな自治体の働き方改革関連の制度や支援策の一部をご紹介します。

広島県「働き方改革実践企業認定制度」

2019年の「仕事始め式」を取りやめたことで話題となっている広島県庁。貴重な時間を余暇の取得や本来の業務に充てるため、慣例化していた社内行事を簡略化したそうです。広島県は、長時間労働の削減や休暇取得の推進などに自律的に取り組み、一定の実績や成果が認められた企業に対し認定企業シンボルマークを授与しています。

第3回となった2018年度には製造業、卸売・小売業、サービス業、医療・福祉などさまざまな業種79社が新たに加わり、県内で累計125社の企業が認定されています。認定された企業は、県の公式ホームページや新聞のPR広告などに紹介されます。

また、女性の活躍促進はもちろん、男性の仕事と育児の両立などにも注力し、「働き方改革は経営戦略であり努力目標ではなくチャンスである」と経営サイドにもアピールしています。
多様な働き方ができる基盤を整え、埋もれていた人材が活躍できる場を提供するためには、企業の意識改革が必要です。そのためにも、自治体のこういった取り組みは企業に変化をもたらす大きなきっかけとなるでしょう。

埼玉県「多様な働き方実践企業認定制度」

2018年の7~11月に「働き方改革推進期間」を設け話題となったのは埼玉県。県や経済団体などが、期間中、県内企業に対し週1回の一斉ノー残業デーを定め、特典を提供する協力店舗を募るなどの取り組みが行われたとのことです。

埼玉県では、男女ともに家庭と仕事を両立するため多様な働き方ができる環境づくりに取り組む企業に認定証を交付。認定企業に対しては、認定証のPR活用という特典だけでなく、県建設工事の入札参加資格申請時の加点や、中小企業に対する融資などの優遇もされています。

認定区分は認定基準の該当数に応じてプラチナ、ゴールド、シルバーと3段階に分かれており、随時ステップアップが可能です。また近年は、男性従業員の育児休業取得に対しプラス評価を設けるなど、働く子育て世代を支援する後押しもされています。

2019年1月までの累計認定企業数は2,600社超、認定基準のすべてを満たすプラチナ企業も250社超と、働き方改革が積極的に推進されています。

愛知労働局特別プログラム「AICHI WISH」

愛知労働局は、働き方改革に意欲的な企業を認定することによって、特別優遇措置を提供しています。2018年6月より働き方改革推進に向けた特別プログラム「AICHI WISH」を開始、柔軟な働き方ができる、魅力ある職場づくりの実現を後押しし、人材確保に向けた取り組みが行われています。働き方改革推進企業としての取り組み状況に応じて★印が付与されるしくみで、★印を3つ以上獲得するとAICHI WISH企業と認定されます。

また公式ホームページでは、業種別・内容別で100種に分類された「働き方改革応援レシピカード」を提供しており、その取り組みに関する助成金活用についても紹介されています。

また、専門家によるアドバイスなどの支援や、★の獲得数に応じてハローワークとの提携による人材確保特別サービス、一部の金融機関と連携し低利での特別融資を受けられるなどの特典もあります。
同年12月末現在で119社が働き方改革推進企業に認定され、59社が★印3つ以上のAICHI WISH企業としての認定を受けています。

よりよい人材を有効活用するために多様な働き方の実現を

年々、働きやすい環境づくりが推進されているものの、日本はまだまだ仕事に追われワークライフバランスが偏っている人が多く、働き方改革推進が実感できないというのが現実です。
数年の間に超高齢化社会を迎える日本では、今後、医療や介護の現場での人材不足は深刻な課題です。

しかし、たとえば看護師の資格を持っていながら未就業という「潜在看護師」は日本国内に71万人もいるといわれています。その過酷な労働環境や労働時間が、働きたい人を踏み出せない原因だと考えられるでしょう。

また、私自身もそうですが、子育て中で近隣に頼れる親類がおらず、限られた時間しか働けないため仕事の選択肢が少ないという人も多くいると思います。
つまり、社会の求める労働条件と働きたい人のニーズを近づけることが働き方改革を実現するにおいて重要なのです。

そのための支援策は全国に数多くあります。これらの制度を活用してより働きやすい職場づくりに取り組む企業が増えれば、日本はもっと働きやすい社会に近づいていくのではないでしょうか。
よりよい社会は一人ひとりの意識を変えることから始まります。個々の能力を最大限に活かせる環境を整え、日本という国を本当の意味で豊かな国にすることがこれからの大きな課題であるといえるでしょう。

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